さんざしの森から始まる物語 再会編 第1話



「サファイア・・・あのぅ・・・・泣かないで・・・」

先程から木の影からオパールと一緒にサファイア達を見守っていた
天使のチンクが心配そうに声をかけます。

「チンク?いやだなぁ 僕らしくないところを見られちゃな。」
照れくさそうな 切なそうな表情はチンクの心を苦しめるのには十分でした。

僕が生まれる前のサファイアに男の子の心を飲ませなければ
サファイアは普通の女の子として幸せになっていたはずだったのに・・・
僕はサファイアを普通の女の子に戻ってもらう為に男の子の心を天国に持ち帰るんだ!

天使のチンクは自分の犯した大罪を悔やむのでした。

「ごめんね・・チンク。」
「どうしてサファイアが僕に謝るの?
サファイアは僕に何か悪いことをしたの?」
「僕が悲しむとチンクが苦しむでしょ?だから ゴメンね・・・」

自分の中のもう一つの心・・・
その心のせいでチンクがいつも悩んでいる事をサファイアは知っていました。
だから 自分はいつもチンクの為にも幸せでいなければいけないのだと思っていたのです。
でも 一瞬 今の自分の状況を切ないと思ってしまった。
そのことが大好きなチンクを苦しめてしまう事になるような気がして
思わず謝ってしまったのだ。

「サファイアは優しすぎるんだよ。
天使にまで気を使うなんて、僕の立場はどうなるの?」
「チンクの立場って?天使だけどサファイアの友達でしょ?違ったの?」
「もぅ サファイアったらそう言う意味じゃなくて・・・もういいや。」

自分の事よりも周りの人達を大切に思うサファイアに
自分の事だけを考えて欲しいなんて言っても無意味だよね。
そう思い直して大きなため息をつくチンクでした。

「そうそう サファイアの洋服を持ってきたよ。」
「うそ・・どうやってフランツ王子の部屋から持ってきたの?」
「オパールから話を聞いて僕がお城に忍び込んだの。」
「オパールが?ありがとう オパール!チンクもありがとう♪」

チンクは天使の能力の一つとして、動物達とも会話が出来るのでした。

「あれ・・帽子はないの?」
「あ・・忘れてきちゃった。」
「帽子ぐらいなくても平気だよ、気にしないでね。」

いつもの洋服に着替えたサファイアだが、フランツ王子の持ち物である
このドレスをどうするか思案にくれていた。
*
*
*
その頃 自室に戻ったフランツ王子はサファイア王子の姿がないことを
残念に思っていた。
フランツ王子はサファイア王子に話したいことが沢山あったのだ。
だからといってシルバーランドまで追いかけていくか?

一度しか会ったことのない隣国の王子が訪問してもサファイア王子なら
笑顔で迎えてくれるだろう。
決して自分のような憮然とした態度は取らないだろうな・・・

誰かと会って話をしたいと思う感情は久しぶりだと思う。
そうか こんな感じだったよ・・・思い出してきた。
今までは誰かと話しをしていても僕には心がなかったんだな。
本当に会いたいと思う相手に出会うとそれが男でも女でも
心がふっくらしてくるんだ。

だからといって「君に話したいことが沢山あるんだ!」っていう理由で
普通は訪問しないよなぁ。
だって これじゃぁ大好きな女の子を口説く時みたいじゃないか。

そんなことを考えては一人で笑ってしまうフランツ王子でした。



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