さんざしの森から始まる物語 再会編 第4話



「それにしても シルバーランドの門番は職務に忠実だね。
ゴールドランド城の門番はあんな風には不審者を警戒しないかもしれないな。」
「そんなことはないだろう?舞踏会のように多くの貴族が来るときでもないのなら
やはりサファイアが不意に訪問しても同じ目にあうだろうな。」

「それに最近騎士達の間でミンネディーンストが流行っているらしく、
ご婦人を廻っていざこざが絶えないらしいね。
そんな事もあって不審者には警戒してるんだと思うよ。
フランツはミンネディーンストを誓っている人がいるのかい?」

「ミンネディーンストか・・・難しいなぁ。
愛の奉仕と捉える者とゲームと捉える者がいるからね。
ちょっと前までの僕はゲーム派だったな」

フランツは自嘲気味にそう言うのだった。

「ちょっと前まで・・・?」
「あぁ・・・数日前までと言った方がいいかもしれないな。
あの娘に会うまでは僕は本当の意味で人を愛すると言うことを知らなかった気がするよ。」


サファイアにはフランツの話している意味が良く分かります。
思わず顔が熱くなるのを感じてフランツから顔を背けました。
(サファイアがあの少女だとまだ気が付かれてはダメなの・・・でも 自信がない。)

「・・・・イア、サファイア?急に黙ってしまってどうしたの?」
「あ・・いや 何でもないんだ、申し訳ない。
そういえば先日は君の舞踏会に最後までいなくて申し訳なかったね。
君が会場から消えてしまって戻りそうもなかったから 僕も帰ってしまったんだよ。」

「あぁ そうらしいね。サファイアには話したいことが沢山あったのに君がいなくて残念だったよ。」
「そんなに残念だったのかい?それは悪いことをしてしまったね。」

剣豪と謳われるフランツ王子があまりにも普通の青年っぽい表情をするので
思わず微笑んでしまうサファイアでした。
そんなサファイアの笑顔を可愛いと感じる自分の気持ちに軽い違和感を感じるが、
その違和感が何なのかは未だ気づいていないフランツなのです。

「ねぇ 二人ともどうしてお互いの顔を幸せそうに見てるの?」
チンクに声をかけられて一瞬固まるサファイア、なぜか照れてしまったフランツ。

「この子供は誰なんだい?城の中を自由に出入りできるようだけどサファイアの弟?」


「ぼくはチンク。サファイアを守る天使だよ。」
「テ・ン・シ?サファイアを守る??」

不思議そうな顔でサファイアを見るフランツの視線に苦笑するしかないサファイアです。
チンクには『あまり余計な事を話してはダメよ。』と目配せをしました。

「チンクが天使っていうのは本当さ。だから大切にしなくちゃいけないんだよ フランツ。」

フランツは怪訝そうな顔をしましたが今はこれ以上はサファイアに聞いてはいけないという気がしたのです。

「そうか 天使のチンクか。でも 天使が守るのは可憐なお姫様だと思っていたけど、
サファイアみたいな勇敢な王子も守るんだね。」

「おい フランツ、それは天使への偏見じゃないか?天使にも人間にはわからない事情があるんだよ。
それとも サファイアが女っぽいと侮辱しているのか?
侮辱しているのなら君に決闘を申し込むがどうなんだ?」

剣豪と言われるフランツですから剣の腕には自信があります。
サファイア王子も剣の達人だという噂は自分の耳にも入っていました。
決してサファイアを女っぽいと思ったわけではないことは自分が良く知っている。
しかし フランツの脳裏には理由は何でも良い、達人と噂されるサファイアと剣を合わせてみたいという衝動に勝てなかったのです。


1 2 3 4 5



[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析