さんざしの森から始まる物語 相愛編 第2話



一方 サファイアの部屋に通されたフランツ王子はチンクに問いかけました。

「いくらチンクが天使だと言っても君の一言で妃殿下が簡単に僕を信用するのは危険じゃないか?」

「僕は天使だよ。ウソをつくわけないでしょ。
それに王妃様はちゃんと王子様を見抜いているんだと思うよ。」

「初めて会った僕を信じる?
どちらかというと遊び人で悪名高い僕をかい?」

そういうとフランツは自嘲気味に笑うのでした。

「苦笑いをしているように見えるがどうかしたのかい フランツ王子?」

いつの間にか部屋に戻ってきたサファイアの明るく心地よい声がフランツに問いかけます。

「あ・・・いや なんでもないさ。
品行方正なサファイアには縁がなさそうな僕のうわさのことさ。」

フランツの言っている意味がわからずにチンクを見つめるサファイア。
しかし チンクもまた苦笑いしてだけなのでした。

「どうやらフランツの噂とやらは僕には内緒って事らしいね。
ならば聴きはしないでおこう。
しかし 君の訪問の目的は聞いてもよいだろう?
僕に出来ることなら力になるさ。」

相変わらずサファイアは勘が鋭いな。

「実は探して欲しい少女がいるんだ・・・・
名前はわからない。どこに住んでいるかもわからない。
わかっていることは美しいが悲しそうな瞳と亜麻色の髪。
サファイアと出会った同じ日に出会ったあの少女に会いたいんだ。」

「僕と出会った日ってフランツのお妃様選びの舞踏会の日だったよね?
そのとき出会った少女・・・フランツが追いかけていったという少女・・・・」

フランツが誰を探しているかを知っているサファイアは思わず俯いてしまったのです。



「そうさ その少女を探しているんだ。
僕はその少女に会わなくちゃいけないんだよ。
その少女と約束したんだ、必ず探し出すってね。」

「探し出して・・探し出してどうするの?」

サファイアが思わず聞いてしまった言葉。
しかし すぐに後悔してしまった言葉。

「僕も約束を守るから彼女にも約束を守ってもらうのさ。」

そう・・・約束。
あの約束はウソじゃない。
あなたの傍にいたい・・・
この気持ちは真実の心。

でも 今は・・・今の僕は王子なんだ。


フランツが探している少女はあなたの目の前にいますと言えたなら良かった。
誰よりもお慕いしてますと・・・あなただけをお慕いしてますと言えたなら・・・

その想いが自分の碧の瞳に現れていたことにサファイアは気がついていなかった。

伝えたいのに伝えられない想いからフランツを見つめてしまったサファイアは
フランツと目が合った瞬間に思わず目を逸らすのだった。


・・・・サファイアの瞳は誰かににている。・・・・


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