さんざしの森から始まる物語 友情編 第1話



一人その場に残されたフランツにはサファイアに言われた言葉が心に刺さっていました。


『僕は勝負が終わっていないのに負けを考えるような奴は嫌いだな。』

確かにサファイアの言う通りだ。
<勝負が終わるまで自分が勝つと信じなければ勝てる勝負も勝てなくなる。>
他の奴には散々自分が言っていた言葉だが自分が言われる事になるなんて思ってもみなかった。
でも 胸に刺さっている言葉はそんな言葉じゃない気がする・・・・
誰かに『嫌いだ』といわれることなんか僕の性格だものよくある事さ。
僕には言われ慣れている言葉じゃないか、それなのに勝負で負けたことより
サファイアに嫌いと言われた言葉だから胸に刺さっているような気がしているフランツでした。


サファイアといると完全に僕のペースが崩されるな。
面白い・・・面白いよ サファイア。
今度はサファイアのその冷静な判断を崩して君を困らせてみたいな。

フランツは悪戯っ子のような笑みを浮かべるのでした。
そんなフランツにナイロン卿が声をかけてきました。

「私はサファイア王子様の家臣でナイロン卿と申します。
フランツ王子様 お怪我はございませんか?
いくら何でもサファイア様も本気で勝負なさらなくてもよろしいものを・・・・
サファイア様は穏やかな気質のように見えますが剣を握ると冷酷な暴君となられます。
フランツ様も先程の試合でお感じになられたでございましょう?
私共家臣はいつも怯えて暮らしております。
どうか 私共にお力をお貸しくださいませ。」

ナイロン卿?いかにも胡散臭い顔をしている奴だな。
それになぜサファイアの悪い噂を僕に吹聴しようとするのだ?
サファイアが暴君などとはありえないだろう。
数度しか会っていないがサファイアはいつも冷静だ。
先程の決闘の時もサファイアが冷酷な奴ならあのまま僕を傷つけていただろう・・・
こいつは一体僕に何をさせようとしているのだ?

「そうか サファイア王子は暴君なんだ、君達も大変だね。
それで僕に何をして欲しいのかな?」

所詮は遊び呆けているプレイボーイの王子だけあって騙すのはちょろいな。
簡単にサファイアの噂を信じやがるぜ。

「実はサファイア様のお噂のことなのですが・・・・」

「サファイアの噂?」

「サファイア様は女の子ではないかと言う噂があるのですが証拠がありません。
女と言う・・・・いえ 男だと言う証拠があればそんな噂など吹き飛ばすことが出来ます。
しかし女だと言う証拠があればサファイア様を追放できるのです。
どうか力をお貸し下さい・・フランツ王子様。」

「ふーん サファイアが男か女かわからないのかい?
そんな事はありえない話だろう?
少なくとも先程の剣の試合では立派な王子としか感じなかったさ。
女の子が僕の剣に叶うはずはないんだよ、なんならそなたが僕の腕前を確認するかい?」

「え?私がですか?と・・とんでもございません、ご遠慮致します。」

逃げるようにその場から立ち去るナイロン卿を笑い飛ばしながらもナイロン卿の言った事を考えていました。

『サファイア様は女の子ではないかと言う噂があるのですが証拠がありません。』

あのナイロン卿という男はサファイアの男の証拠が欲しいのか女の証拠が欲しいのかどっちなんだ?
だがサファイアが女の子だと仮定してみようか・・・?いや ありえないさ。
あの身のこなし、剣の腕前に馬術といい王子としか思えない。
僕と対等に剣術の試合が出来る腕をもつサファイアが女の子のはずがないじゃないか。


サファイアが男の子であることはフランツの中では揺るがせない事実なのです。

しかし フランツの心の中には何かの違和感が消えないこともまた真実なのでした。



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