さんざしの森から始まる物語 友情編 第4話



フランツとチンクが出て行った部屋ではサファイアは自分でコントロールできない感情に戸惑っていました。

フランツ・・・
きっと フランツはサファイアが女の子だって気がついてしまう気がする。
そして あの時の少女がサファイアだと言うことも・・・・
まだ気づかれてはいけない・・・・でも 気づいて欲しい・・・・

でも その時、フランツはどう思うのだろう?
普通の女の子じゃないサファイアをどう思うのだろう?

この気持ちをどうしたらいいの?

サファイアハ フランツヲ アイシテハ イケナイ・・・

必死で抑えている少女としてのフランツへの想い。

友情なら問題ないと持っていたのに・・・・
王子としてならフランツと共にいられると思ったのに・・・
フランツは友としても僕の心に入ってくる。

どうして?どうしてなの フランツ?

サファイアはどうしたら良いのかわからない。
*
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フランツもまたゴールドランドへ向う帰路でサファイアのことを考えていました。

サファイアはいつもあんなに風に震えながら一人で何かを耐えているのか?

サファイアが一人で耐えている事は何なのだろう?
サファイアの傍にいると傷つくって一体どういう意味だ?
天使のチンクが言っていたサファイアには何が起きても不思議じゃないって・・・

フランツには何もかもわからないことばかりで苛立ちが募るばかりでした。

そして サファイといる時にふと感じる違和感はなんだろう?
不快感ではない・・・心地よい違和感・・・とでも言った方が良いだろうな。

笑顔が似合う太陽のような王子かと思えば儚げで今にも消えてしまいそうなサファイア、

サファイア、君は不思議な人だよ。

サファイアのことを考えているうちに いつの間にかゴールドランド領内に入っていました。

「フランツ王子様 今日は珍しくお一人ですね?」

声の主はフランツの剣の師匠とも言うべきドッド爺さんだった。
彼はフランツが心を許している数少ない人間の一人なのだ。

「珍しくって・・・僕はいつも誰かと一緒にいるかい?
いつも一人でいるような気がしていたが・・・」

「フランツ王子様はいつも美しい姫と一緒にいらっしゃいますよ。
お羨ましいことにいつも違う姫さまでございますよ。
しかし 王子のお心は傍にいらっしゃる姫にはないのでしょうなぁ。
誰と一緒にいても、王子様はお心をお開きにはなりませんからね。
だから いつでもお一人と感じているのですよ。」

ドッド爺さんの言う意味が理解できないという顔をしているフランツ王子をみて
笑いながらそういうのでした。

「言われてみるといつもどこかの姫と一緒かもしれないな。
でも どの姫も僕の記憶には残っていない・・・・
僕が会いたいのはあの少女だけなんだ。
どこの姫かもわからないが必ず見つけ出すさ。」

フランツは舞踏会の時の亜麻色の髪の少女を思い出していました。


・・・・会いたい・・・・


「フランツ王子からそのようなお言葉を聞くとは・・・爺は少し安心致しましたぞ。
後は信頼できるお友達でも出来れば良いのですが、王子様の我侭な性格では
お友達は難しいでしょうな。」

「友達?僕にだって信頼できる友だっているさ。」

王子様にお友達が出来るとは・・・・
人に心を開くことのない王子様が自ら友と呼ぶお方とは一体どなたのだろう?

「爺・・・僕に信頼できる友がいることがそんなに驚くことかい?
彼なら信頼して大丈夫だと思えるんだ、
いや 彼に僕が信頼し欲しいと望んでいるのかも知れないな。
シルバーランドのサファイア王子。」

「シルバーランド?
サファイア王子は聡明なお方だという噂は爺の耳にも入っております。
そして剣の達人ということも。
たしかシルバーランドの国王と実弟のジュラルミン大公殿との仲があまりよくないという噂ですぞ。
国は栄えておりますが国王が・・・世継王子であるサファイア王子の身に何かあったら
あの国は乱れるのでしょうな。」

爺の言葉を穏やかな気持ちで聞いている事はできなかった。
だが 今はまだサファイアの為に具体的には何も出来ない自分がもどかしく思うフランツだった。





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