さんざしの森から始まる物語 友情編 第2話
「はぁ・・・」
自分の部屋に戻ったサファイアは大きな溜息をついていました。
どうして決闘になっちゃの?
どうしてフランツに勝っちゃったの?
どうしてフランツの喉下にレイピアを思いっきり突きつけちゃったの?
「はぁ・・・サファイアって救いようがないかもね。」
そう呟いては また 大きな溜息をつくのでした。
このままの状態で良いとは思わないけど・・・
かといって 『ごめんなさい』って言うのはおかしいわよね。
だって 謝る理由が自分でもわからないもの、それなのに謝れないよ。
大体 どうして嫌いだって言ってしまったんだろう?
でも あの時は本当に嫌いだって思った自分の心。
嫌いじゃないのに・・・・嫌いじゃないのに・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい フランツ・・・・・・・・・・・・・・
このまま喧嘩別れになって会えなくなっちゃうのかな?
男の子としてでも良いからフランツに会いたい・・・
*
*
*
*
「さてと サファイアにこれ以上嫌われないうちにゴールドランドに戻ろうか・・・」
「ねぇ・・本当に帰っちゃうの?
サファイアにもう一度会わずに帰って後悔しないの?」
「君はチンクと言ったね。確か天使だと・・・・
君の言葉は天使としての僕への忠告かい?」
「天使の忠告じゃなくて・・・・王子様の顔にそう書いているんだもん。
サファイアなら大丈夫だよ、多分怒ってないよ。
それにね 今会わないと二度と会えなくなるかもしれないよ。」
「二度と会えなくなるってどういう意味なんだ?」
「サファイアには何が起こっても不思議じゃないから・・・・
ごめんなさい王子様、ぼくはこれ以上話せないんだよ。」
チンクの言っている意味が理解できないもどかしさに険しい顔になるフランツ。
あのナイロン卿とかいう胡散臭い奴といい、天使のチンクといい、
一体サファイアの廻に何が起きてるって言うんだ?
僕はもう一度サファイアに会わなければいけない気がする。
それはサファイアが女の子かどうかを確認する為ではなく、『ナイロン卿に気をつけろ』と
そして自分に出来ることがあったら相談して欲しいと伝えたかったのでした。
しかし 今の状況でサファイアは自分に会ってくれるのだろうか?
少なくとも僕はサファイアが嫌いとする一面を見せてしまったんだからな。
「サファイアのお部屋までぼくが案内するけどどうするの?
帰っちゃうの?それとも会うの?」
天使のチンクの言うとおり、今会わなければ僕は後悔する気がする。
何に後悔するのかは自分でもわからない、でも 会わなくては・・・
「もちろんサファイアに会いにいくさ。案内してくれるかい?」
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