さんざしの森から始まる物語 第2話


サファイアはさんざしの森の中でも一番大きな木の下に腰を下ろし
愛馬のオパールを森の中に放しました。

「思いっきり森の中を駆けておいて。また 城に戻ったら窮屈な馬小屋に
繋がなければいけないからね。気が済むまで駆けてきたらこの場所に戻ってくるのよ。」

オパールはサファイアの言葉を理解しているようです。
サファイアを暫く見つめてから森の中へ駆けていきました。

暫くすると サファイアの耳に枯れ枝を踏むかすかな音が聞こえてきました。
こんな森の奥に入り込むのは自分と道に迷った者か山賊ぐらいだろう。
さて 自分の目も前に現れるのはどちらなのかと身構えながら待つことにしました。

剣の腕に自信があるサファイアには隠れる意思は全くありません。
そんなサファイアの前に現れたのは黒い馬に跨った騎士でした。

(こいつには スキがない、一体何者なんだ?)
サファイアも黒い馬に跨っている騎士も第一印象は同じだったのです。

「こんな森の中に一人で入り込むなんて道にでも迷ったのかな?騎士殿」
「君こそ馬もなく こんな森の中に一人でいるなんて何かあったのですか?」

「僕はこの森の中には遊びにきたのさ。僕の馬は今 放牧中だよ。
いつも僕に乱暴に扱われているうえに、狭い馬小屋に繋がれるいるんだ。
だから 時々こうやって自由に森に放つんだ。
さて 僕はここにいる理由を正直に君に話したよ。
君を信じて話したんだ、君も理由を教えてくれるかな 騎士殿。」

「騎士殿って呼び方は止めてくれないかな?
僕の名前はフランツ、ゴールドランドのフランツ王子だ。」

「ゴールドランドのフランツ王子?なぜ 供の者もつけずに
こんな森の奥へ一人で入り込むだ。
王子の君に何かあったらゴールドランドは大変な事になるだろう!
もし 僕が山賊で君をこの場で襲ったらどうなるんだ!
もう少し自分の行動に責任を持てよ!」

自分の事を棚に上げて、思わずフランツに言い放ってしまった言葉。
そう その言葉は自分にもいえる言葉だと思い反省したのだ。

初対面の騎士にいきなり説教をされて憮然としているフランツを尻目に
いきなり笑い出してしまうサファイア。

「ゴメン 言い過ぎた。いきなりこんなことを言われたら腹が立つよね。
本当にゴメンよ。フランツ王子。僕はシルバーランドのサファイア王子だ。」

「サファイア王子?なぜ 供の者もつけずにこんなところにいるんだ、無用心だろう!」

思わずさっきのサファイアと同じ事を言ってしまい苦笑するフランツ。

「フランツ王子、この森はゴールドランドの国境に近いがシルバーランド領内だ。
もし この場所で君に何かあればシルバーランドの責任になってしまう。
君が道に迷ったのなら僕が森を抜けるまで案内するがどうする?」

「叔父上とケンカして何も考えずに走っていたらこの森に入ってしまったのさ。
だから道に迷ったといった方が正しいだろうな。
でも まだ城には戻りたくないんだ。僕の妃を選ぶ舞踏会なんて出たくないからね?」


僕とそんなに年齢は変わらないだろうが、彼は妃選びをしなくてはいけないのか・・・
僕が妃を選ぶなんて不可能なことだ。
でも このままでいられるわけにもいかないだろう。
フランツ王子から舞踏会のいきさつを聞き 自分の立場と重ね合わせたサファイアは
この先の自分の運命に一抹の不安を感じないではいられなかったのでした。


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